荒木経惟の偽日記
荒木経惟の偽日記
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1970年代後半から80年代にかけて、編集者・末井昭との仕事が活発になる時期に刊行された、荒木経惟の写真集。『偽ルポルタージュ』と同年に発行され、のちの荒木を決定づける“日付入りスナップ”という方法論を本格的に打ち出した一冊。
本書は、日付入りのスナップ写真が1ページに1点ずつ、1979年4月1日から順に並べられているが、巻末は突然1992年に飛ぶ。荒木が当時、カメラの日付設定を恣意的に変えながら撮っていたことによる“偽”の仕掛けであり、時系列のズレと虚実の混在こそが本作の核心となっている。女性ヌード、街の風景、葬式の場面、そして鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』の一場面まで、荒木の日常と妄想、感情の襞が連続的に立ち上がる。
「日付を入れて撮っていくことが、アタシの人生であり日記だ」と語る荒木にとって、本作は“写真日記”スタイルの出発点であり、のちの膨大な私写真シリーズへとつながる起点となる。巻末には平岡正明(評論家・作家・ジャズ批評家・文化批評家)が寄稿。
[タイトル] 荒木経惟の偽日記
[出版元] 白夜書房
[出版年月日] 1980年11月10日(1刷)
[ページ数] 頁付きなし
[大きさ] 約26.2×17.6×2.0cm、0.80kg
[フォーマット] ソフトカバー
[タイトルよみ] アラキノブヨシノニセニッキ
[著者・編者等] 荒木経惟/著、福田博人/制作、末井昭/ブックデザイン
[印刷] 日本製版/印刷・製本
[ISBN] なし
[状態] 中古 【5】並(函少ヤケ・少イタミ、三方シミ)
[付属品] 函
[掲載本]
[関連展覧会]
荒木経惟(あらき・のぶよし)
1940年5月25日、東京都台東区三ノ輪に生まれる。
1959年、千葉大学工学部写真印刷工学科に進学し、1963年に卒業。卒業後、電通に入社し宣伝用カメラマンとして活動。1964年には「さっちん」で第1回太陽賞を受賞し、写真家としての存在感を示す。
1971年、同僚の青木陽子との新婚旅行を記録した私家版写真集『センチメンタルな旅』を発表し、“私写真”のスタイルを確立。1972年に電通を退社してフリーランスとなり、ヌード、都市風景、花、愛猫チロ、妻・陽子との日常、街角スナップなど、多彩な被写体を撮影。日常の断片や私的情感を前面に押し出す作風は、写真界に新たな潮流を生み出した。
1980年代以降は中判カメラのペンタックス67やプラウベル・マキナ67、ライカなどを用いた密度の濃い日常写真を展開。被写体への親密な視線と湿度のある描写で、私的空間と公共空間の境界を曖昧にする表現を追求。約500冊を超える写真集を刊行し、国内外で高く評価される。
主な写真集には『センチメンタルな旅』(1971)、『東京日和』(1977)、『写狂老人A』(1990)、『写真私情主義』(2000)、『荒木経惟写真全集』(2008)などがある。
受賞歴には太陽賞、オーストリア科学・芸術勲章、第6回安吾賞、第54回毎日芸術賞特別賞などがある。現在も撮影を精力的に続け、日本を代表する現代写真家として世界的に知られる存在。
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