本の修繕に使うフエキ糊、目打ち、カッターと古本

本を直して、次の人へ

文福では、古本を次の方へお渡しする前に、必要に応じて本の修繕をしています。

古本なので、すべてを新品のように戻せるわけではありませんし、そうできるとも思っていません。

長く読まれてきた本には、その本が経てきた時間があります。

それを完全に修復することはできない。
なので、これ以上傷みが進まないようにし、そして、次の人が気持ちよく手に取り、また長く付き合える状態にすること。

そのくらいの修繕を心がけています。


本をできるだけ傷めないものを使う

修繕に使うものも、できるだけ本を傷めにくいものを選んでいます。

糊は、基本的にフエキ糊を使っています。

修繕する場所や状態によっては、木工ボンドのような酢酸ビニール系の接着剤を少量混ぜることもありますが、必要以上に協力な接着はしません。

ページが破れてしまっている場合は、紙製の補強材を使います。

文福で基本的に使っているのは、キハラの「ページヘルパーP」。
和紙風のレーヨン紙に接着剤が付いた補修用テープで、貼った跡が比較的目立ちにくく、本のページにも馴染みます。


セロハンテープは使わない

古本を見ていると、破れたページをセロハンテープで即席に直してあることがあります。

貼った当初はきれいでも、長い時間が経つと接着剤が劣化し、黄色く変色したり、ベタついて紙を傷めたりすることがあります。

すでにセロハンテープで修繕がある場合は、できる範囲できれいに除去してから、紙の補修材で直します。

「メンディングテープ」という名前のテープもありますが、本の修繕には向いていない感じます。

長く残す本のことを考えると、家庭にあるテープをとりあえず貼る、という修理はできるだけ避けた方がいいと思っています。


カバーのある本にはビニールカバーを

カバーが付いている古本には、状態に応じて透明のビニールカバーを付けてお送りしています。

配送中や、その後本棚から出し入れするときに、カバーが擦れたり破れたりするのを少しでも防ぐためです。

ただし、ずっと付けておくことが必ずしも正解ではありません。

湿気の多い場所では、環境によってシミやカビにつながることもあります。保管する場所や季節に合わせて、不要であれば外してください。

また、本の形状や状態によってはビニールカバーを付けられない場合もあります。


完全に直すことより、これから傷まないこと

古本の修繕に、ひとつの正解があるわけではないと思っています。

文福で行っている方法も、もちろん完全ではありません。

ただ、修繕した直後にきれいに見えることよりも、時間が経ったときに、その修繕自体が本を傷める原因にならないことを大切にしています。

古本には、それまで誰かが読んできた時間があります。

少し破れていたり、角を打ってしまったり、擦れていたり、ヤケやシミがあったり。
それらも含めて、その本が経てきた時間です。

同じタイトル、同じ版の本であっても、長い時間を経た古本は一冊ずつ少しずつ違います。

だから文福では、そうした跡まで無理に消してしまうのではなく、その本にしかないものとして大切にしたいと思っています。

清掃して、必要なところだけ少し手を入れて、また読める状態にする。そして次の人の本棚へ渡って、そこからまた時間が続いていく。

キズや修繕跡も含めて、一冊しかない本として大切に読んでいってもらえたらうれしいです。

きっとその本は、どこかであなたの役に立ったり、ふとした時に開きたくなったりするものになると思います。

そして、いつかあなたが手放す日が来ても、また別の誰かに読まれていく。

本はそうやって、人から人へ渡りながら、思っている以上に長い時間を生きていくものなのかもしれません。

文福では、そんなことを考えながら、一冊ずつ本を次の人へ渡しています。

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