宮本隆司による写真集『KOBE 1995 After the Earthquake』は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災直後の神戸を記録した重要作である。 倒壊した建築物、裂けた道路、露わになった構造体──本書は、復興や物語化がなされる以前の、災害の痕跡をそのまま刻み込んだ都市の姿を、極めて冷静かつ徹底した視線で捉えている。
宮本は1995年、震災によって被災した建築物を集中的に撮影し、「KOBE 1995 After the Earthquake」シリーズを制作。この作品群は高く評価され、1996年の第6回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展・日本館展示に選出される。さらに同展において金獅子賞を受賞した。 世界的な美術・建築の檜舞台であるヴェネチア・ビエンナーレで、日本人写真家がこの賞を受賞することは異例であり、本作は宮本隆司の名を国際的に知らしめる決定的な契機となった。
1986年、建築解体現場を撮影したシリーズ「建築の黙示録」を発表。1988年には香港の高層スラムを記録した『九龍城砦』を刊行し、1989年に第14回木村伊兵衛写真賞を受賞。 1995年、阪神淡路大震災直後の神戸を撮影した「KOBE 1995 After the Earthquake」は、1996年の第6回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展日本館展示に選出され、金獅子賞を受賞するなど国際的評価を確立した。