クウィノルト Quinault
クウィノルト Quinault
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上田義彦による写真集『QUINAULT』は、1990年代初頭に撮影された初期〜中期の代表作であり、写真家としての転換点を刻んだ重要な一冊。アメリカ先住民によって“バージンの森”と名付けられたワシントン州の原生林を舞台に、8×10の大判カメラで捉えられたイメージは、濃密な湿度と静寂、そして生命と死が交錯する森の深奥を映し出している。
もともとはポートレート撮影のためのロケーションを探す中で出会ったこの森に、上田は強く引き寄せられる。来る日も来る日も機材を担ぎ森を彷徨いながら、「森に宿る何か」を求めて撮影を重ねた。その体験は、単なる風景描写を超えた「木の肖像」として結実し、写真の根源的な力を問い直す契機となった。
本書に収められた図版は、自然を対象として捉えるのではなく、不可視の気配や“力”そのものを写し出す試みであり、見る者に強い身体的感覚を呼び起こす。上田自身が「写真の始まり」と語るように、ここには“新しい写真”の誕生が刻まれている。
その後、この森での経験は屋久島での撮影へと展開し、写真集『Materia』へと結実していく。図版の美しさと緊張感に呼応する高品質な造本も本書の大きな魅力であり、写真と物質性が高い次元で結びついた一冊となっている。
1993年に京都書院より刊行された初版。後に2003年、青幻舎より復刻している。
上田義彦の原点にして代表作。装丁は葛西薫。
[タイトル] クウィノルト Quinault
[出版元] 青幻舎
[出版年月日] 1993年(初版)
[ページ数] 頁付きなし
[大きさ] 約260*366*19mm / 1,420g
[フォーマット] ソフトカバー
[言語] 日本語、英語
[タイトルよみ] クウィノルト
[著者・編者等] 上田義彦/著、都築響一/編集、葛西薫/デザイン
[印刷] 京都書院/印刷
[ISBN]9784763686046
[状態] 中古 【4】並~並下(三方ヤケ・シミ、縁少イタミ、表紙少キズ)
[付属品] -
[掲載本] -
[関連展覧会] -
上田義彦(うえだ・よしひこ)1957‐
1957年兵庫県生まれ、神奈川県在住。
1979年に大阪写真専門学校(現・専門学校大阪ビジュアルアーツ・アカデミー)卒業後、福田匡伸、有田泰而に師事し、1982年に独立。広告写真と並行しながら作品制作を展開し、日本を代表する写真家のひとりとして国内外で高い評価を得る。
1990年代初頭、ネイティブ・アメリカンの聖なる森を撮影した代表作『QUINAULT』(1993)により写真表現を大きく転換。その後も前衛舞踏家・天児牛大を捉えた『AMAGATSU』(1995)、家族を主題とした『at Home』(2006)、生命の根源に迫る『Materia』(2012)など、ポートレートからランドスケープまで幅広い作品を発表。近年は『FOREST 印象と記憶 1989–2017』(2018)、『68TH STREET』(2018)、『Māter』(2022)、『いつでも夢を』(2023)などを刊行している。
主な受賞に、日本写真協会賞作家賞(2014)、東京ADC賞、ニューヨークADC賞など多数。2011年よりGallery 916を主宰(〜2018)、2014年から2025年まで多摩美術大学教授を務めた。2021年には映画『椿の庭』で監督・脚本・撮影を手がけるなど、活動は写真の枠を超えて広がっている。
作品は、フランス国立図書館、Kemper Museum of Contemporary Art、New Mexico Arts、Hermès Internationalなどに収蔵されている。
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上田義彦
