小関与四郎 九十九里浜 海に生きる人々
小関与四郎 九十九里浜 海に生きる人々
受取状況を読み込めませんでした
小関与四郎 による写真集『九十九里浜』は、千葉・九十九里の地に根ざし、半世紀にわたり撮り続けられた人々の営みを収めた代表作。1935年に同地で生まれ育った小関は、1950年代より撮影を開始し、生活や風土、祭事を丹念に記録してきた。本作は1972年に刊行され、翌年に日本写真協会新人賞を受賞している。
写し出されるのは、港を持たない九十九里浜特有の漁の風景。沖へ出る男たち「フナガダ」と、浜から船を押し出し支える女たち「オッペシ」が、荒波の中で力強く働く姿が克明に捉えられている。全裸や半裸で波に挑む身体、寒風の中で声を張り上げる女衆の姿には、過酷な労働と隣り合わせの生の実感が刻まれている。
そこにあるのは、単なる民俗記録ではなく、「はたらくとは何か」「家族とは何か」「生きるとは何か」といった根源的な問いである。高度経済成長のうねりの中で失われていく日本の原風景と、人間のたくましさを同時に浮かび上がらせる。
また本書は、当時のグラビア印刷による豊かな階調表現も大きな魅力のひとつであり、力強い身体や荒々しい海の質感をより生々しく伝えている。
九十九里という土地に深く結びついた視点から、日本の記憶と身体性を写し取った重要なドキュメントであり、時代を越えてなお強い力を持つ一冊。
●1973年日本写真協会新人賞受賞作品
[タイトル] 九十九里浜 海に生きる人々
[出版元] 木耳社
[出版年月日] 1972年
[ページ数] 160頁
[大きさ] 約222*320*32mm / 1,333g
[フォーマット] ハードカバー
[言語] 日本語
[タイトルよみ] クジュウクリハマ ウミニイキルヒトビト
[著者・編者等] 小関与四郎/著、佐藤宗太郎/製作監修、矢萩春恵/題字
[印刷] 日本写真印刷/グラビア印刷、同美印刷/文字印刷、中村製本/製本
[ISBN] -
[状態] 中古 【5】並(函ヤケ・少イタミ、天束に少シミ)
[付属品] 函、写真目録1枚
[掲載本] -
[関連展覧会] -
小関与四郎 (こせき・よしろう)1935-
1935年、千葉県匝瑳郡栄村(現・匝瑳市)生まれ。
九十九里浜で育つ。中学卒業後、自転車店で働きながら独学で写真を学び、コンテスト入賞を重ねる。1962年、『カメラ毎日』掲載作「暖をとるオッペシ」で年間賞を受賞し、写真家として活動を本格化。
1967年に横芝町で写真店を開業し、以後は千葉の生活や風土を継続的に記録。九十九里浜の漁業に生きる人々を追い、「フナガダ」(漁に出る男たち)と「オッペシ」(船の押し出しや荷揚げを担う女たち)に象徴される労働の姿を克明に捉えた。1972年の写真集『九十九里浜』で翌年、日本写真協会新人賞を受賞。
以降、『成田国際空港』(1982)、『九十九里有情』(1993)、『国鉄・蒸気機関区の記録』(2007)、『クジラ解体』(2011)などを発表。2004年には『九十九里浜』新版を刊行。2017年には写真の町東川賞の飛彈野数右衛門賞(国内作家賞)を受賞。
郷土に根ざし、人々の営みを記録し続けるその仕事は、日本の生活文化を伝える重要なドキュメントとして評価されている。
< Related Figures >
