THE VOID
THE VOID
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石川直樹の写真集『THE VOID』。ニュージーランド北島に残る、先住民マオリの聖地である原生林を撮影した作品をまとめ、2005年にニーハイメディア・ジャパンより刊行された写真集。石川自身が後に「写真家として生きていくことを決めた出発点になった」と語る初期作品で、約1か月半にわたる滞在から選ばれた31点を収録する。
撮影の背景にあるのは、石川が学生時代から続けていた太平洋島嶼部の伝統航海術へのフィールドワークである。海図やコンパスを使わず、星、風、潮流、鳥などの自然現象から自らの位置を読み取って海を渡る航海術。その体得者であるマオリの古老ヘクター・バスビーを訪ねた石川は、航海に使われるカヌーの材料となる巨木「カウリ」が育つ原生林の存在を知り、森の奥へ入っていった。
森では、生命の気配が充満している一方で、真空のような「無」を感じたという。「VOID」には「空間」「無限」「すき間」といった意味がある。巨大な樹木から足元の植物や葉脈までを見つめながら過ごすうちに、石川は「ひとつの森はすべての森、すべての森はひとつの森」という感覚へと至る。森で生まれたカヌーが海を渡り、やがて朽ちて再び森へ還っていくように、本書では森を閉じた場所ではなく、海や島々、その土地の過去と未来へとつながる場所として捉えている。
巻末には伊藤俊治による「ひとつの森は、すべての森」を収録。伊藤は、写真のなかに現れる空洞やエアポケットのような空間に着目し、それを、目には見えない自然の力へと向き合う人間の姿勢の痕跡として読み解いている。2005年には新宿ニコンサロンで同名展「THE VOID」を開催し、本作により翌2006年、第8回三木淳賞を受賞した。
[タイトル] THE VOID
[出版元] ニーハイメディア・ジャパン
[出版年月日] 2005年9月20日(第1刷)
[ページ数] -
[大きさ] 約333×267×10mm / 695g
[フォーマット] ハードカバー
[言語] 日本語
[タイトルよみ] ザ ヴォイド
[著者・編者等] 石川直樹 / 著、伊藤俊治 / 解説、畑中章宏 / 編集、井上庸子 / 装幀
[印刷・製本] 大日本印刷 / 印刷
[ISBN] 4931407609
[状態] 中古【5】並(三方少シミ、背角に少アタリ)
[付属品] -
[掲載本] -
[関連展覧会] 「THE VOID」新宿ニコンサロン、東京、2005年
石川直樹(いしかわ・なおき)1977–
1977年、東京生まれ。写真家。
2002年、早稲田大学第二文学部卒業。2005年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了、2008年に同大学院博士後期課程を修了。人類学、民俗学などに関心を持ち、都市から辺境までさまざまな場所を旅しながら、写真と文章による制作を続けている。
学生時代から太平洋島嶼部の伝統航海術をめぐるフィールドワークを行い、北極から南極への人力による縦断や世界各地の高峰への登山なども経験。2005年に『THE VOID』を刊行し、翌2006年に同作で第8回三木淳賞を受賞した。
2008年、『NEW DIMENSION』『POLAR』により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞を受賞。2011年『CORONA』で土門拳賞、2020年『EVEREST』『まれびと』で日本写真協会賞作家賞、2023年に東川賞特別作家賞を受賞した。
写真集に『POLE TO POLE ―極圏を繋ぐ風―』『ARCHIPELAGO』『K2』『SAKHALIN』『EVEREST』『MOMENTUM』など。作品は東京都現代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、沖縄県立博物館・美術館、土門拳記念館などに収蔵されている。
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