日本典型
日本典型
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柴田敏雄の代表作のひとつ『日本典型』。広大な造成地やダム、山間部に築かれた擁壁、砂防施設など、日本各地の土木構造物を8×10の大型カメラで捉えた写真集。大判カメラによる緻密な描写によって、コンクリートの肌理や斜面の質感、人工物と周囲の地形との関係が克明に写し出されている。
モノクロームで統一された画面では、ダムや擁壁、護岸といった構造物が、自然を大きく改変する存在であると同時に、均整や反復、幾何学的な形態を備えた造形物として現れる。水平垂直を意識した厳密な構図によって、自然と人工物のあいだに生じる緊張と、そこに見いだされる視覚的な美しさが同時に提示されている。
本書に寄せたジェームズ・エンニャートは、柴田の写真に「視覚的な快楽」と「社会への問い」が並存していることを指摘する。自然の風景を変容させる土木構造物を写しながらも、その姿を単純に批判するのではなく、設計や施工によって生まれた形態の美しさまでを画面のなかに受け入れている。その矛盾と静かな緊張が、本作を特徴づけている。
本書のタイトルは、もともと「日本点景」となる予定だったが、印刷所への入力ミスによって「日本典型」となり、そのまま刊行されたという逸話を持つ。結果として生まれた「日本典型」という言葉は、個々の風景の断片を超えて、日本の国土に反復して現れる構造や形態、近代化によって刻まれた風景の特徴そのものを示す題名として響いている。
本書には、1983年から1991年にかけて神奈川、埼玉、新潟、宮城、秋田、宮崎、北海道、熊本、奈良など全国各地で撮影された作品を収録。ジェームズ・エンニャートによる論考「壮麗なる運命のテラス / TERRACES OF SPLENDOR AND DESTINY」も収められている。1992年、柴田は本書により第17回木村伊兵衛写真賞を受賞。
[タイトル] 日本典型
[出版元] 朝日新聞社
[出版年月日] 1992年10月1日(初版)
[ページ数] 頁付きなし
[大きさ] 約314×305×16mm / 約1100g
[フォーマット] ハードカバー
[言語] 日本語・英語
[タイトルよみ] にっぽんてんけい
[著者・編者等] 柴田敏雄/写真、山岸享子/編集、富樫茂美・一宝堂/デザイン、ジェームズ・エンニャート/論考、江村あさ代/翻訳
[印刷・製本] 凸版印刷/印刷
[ISBN] 4-02-256508-X
[状態] 中古【5】並(カバー:少ヤケ・天と背部分に少イタミ、本体:三方薄ヤケ)
[付属品] -
[掲載本] -
[関連展覧会] -
柴田敏雄(しばた としお)1949–
1949年、東京生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を経て同大学院を修了。1975年、ベルギー文部省奨学金を受けてゲント王立アカデミー写真科に入学し、本格的に写真制作を始める。1979年帰国。
日本各地のダム、砂防堰堤、コンクリート擁壁など、自然のなかに築かれた人工構造物を大型カメラで捉えた作品で知られる。緻密なモノクロームの描写と厳密な構図によって、近代日本の風景に現れる構造と形態を提示してきた。
1992年、写真集『日本典型』により第17回木村伊兵衛写真賞を受賞。同年、ニューヨーク近代美術館「New Photography 8」に選出。1997年にはシカゴ現代美術館で個展を開催し、2008年には東京都写真美術館で個展「ランドスケープ」が開催された。2009年、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞を受賞。
作品はニューヨーク近代美術館、東京国立近代美術館、ポンピドゥー・センターをはじめ、国内外の美術館に収蔵されている。
< Related Figures >
柴田敏雄
木村伊兵衛写真賞
ジェームズ・エンニャート
山岸享子
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ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館






